2002 ASTURIAS Country Jr.
7~8年前になるが、数人にギターをレクチャー(教えるというほどではなく、練習法を紹介する程度だったのだが)したことがあり、その際、なるべくしっかりした音の出る、且つ値段も高くないギターが必要になった。ちょうどその頃に雑誌(たしか“Guitar”誌だったと思う)に、10万円以内ギターのベストBuyのような記事が掲載されていて、そのうちのLarriveeのギターが気になった。現物を見るため渋谷の石橋楽器店に。おそらくOM-03だったと思う。確かにすばらしい音とバランスで、サテン塗装でボディが軽い分、鳴りもよくなっているようだった。そもそもOMモデルということもあり、広い空間でジャンジャカ鳴らす必要はないわけで、そういう意味でもこれで充分という感じの出来。そのとき店員さんが紹介してくれた他の商品の中に、このギターがあった。こちらはOM-03が持っている絶妙なバランス感覚とは対照的で、とにかく鳴る。音の深みはそれほどでもないが、音量なら倍以上の値がつけられているギターにひけをとらない。無駄な装飾がない分、素材が良く、造りもしっかりしている。結局、両方を買うことになった。
造りの丁寧さが品質に表れている。10万円以内のギターとして購入したのだが、今は20万以上の値が付けられているようだ。ボディの素材が極限まで薄くされていて、塗装もかなり薄い。それがそのまま鳴りにつながっている。
このギターと出会うまで“ASTURIAS”というメーカーを知らなかったのだが、クラシックギターをメインに、ウクレレなども製作しているメーカーで、62年からコンスタントに製造を続けているようだ。シリアルも工房の全製品に連番で付けられているらしく、大量生産品と違って重みを感じる。流行りすたれに翻弄されず、このまま名器を作り続けていってほしい。
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