Studio NOVAK - Graphic & Web Design
Favorites
Tokyo Concours d'Elegance 2009 Part.3
さて、ついに完結編。コンクール・デレガンスの見学レポート第3弾です。
いよいよこれで最後となりますが、エントリー車種はどんどん時代をさかのぼって行き、戦前のヨーロッパの優美な風景、自動車文化創成期の華やかな様子が、展示された車ごしに見えるような気さえしてきます。「Aクラス:Vintage」1910~30年、「Bクラス:Post Vintage」1931~45年の中には、一般投票の“マスターピース・オブ・トウキョウ”受賞車、オリジナリティ性が評価される“日本クラシックカークラブ(CCCJ)賞”の受賞車もあります。詳しくは下記サイトをご覧ください。

東京コンコース・デレガンス・オフィシャル WEB
Bentley3 1/2Litre Tourer('34 by Vanden Plus)photo by NOVAK
Bentley3 1/2Litre Tourer('34 by Vanden Plus)です。正直に言いますとこの時代より前のことは全く詳しくないのですが、実物を前にすると、以前から見知っていたような、懐かしい感じがします。70年代生まれの私にとって懐かしいはずがないのですが・・・。
また、こういう古き佳き時代のクルマを見ていると、それぞれのブランドが持っているアイデンティティーを確かな形として感じることができます。例えば、今ではベントレーとロールス・ロイスに違いは殆ど無いように思えますが、Part.1でご紹介したMkⅥ D.H.C. や、この車には確固たる「ベントレー観」が宿っています。フロントグリルからボンネットへつながる丸みのあるラインもそうですが、全体がキュッと引き締まっていて、ロールス・ロイスとは違い、明らかにスポーツカーらしさを感じます。また、前面のウィンドウシールドと幌も、簡素、且つスタイリッシュで、本当にかっこいい!これがクルマならば、今の移動する箱は、もうクルマとは別の乗り物だなあ、と思ってしまいました・・・。
Rolls- Royce 25/30HP Hooper('37)photo by NOVAK
こちらはRolls- Royce 25/30HP Hooper('37)。かつて吉田茂氏の所有車だったそうです。車高の高さが半端ではないですね。まるで神殿のようです。ヘッドライト下につけられたホーンには“BOSCH”と記されていました。それぞれのメーカーに、それぞれの歴史があるんですね。
Frazer Nash BMW 328('37)photo by NOVAK
Frazer Nash BMW 328('37)photo by NOVAK
Frazer Nash BMW 328('37)photo by NOVAK
Frazer Nash BMW 328('37)。やっぱりBMWのブタ鼻がいい。でも、これブタではなく英語では“kidney(腎臓) Grill”と呼ばれるらしいですね。この時代に、もうヘッドライトをフェンダー内に組み込んだ流れるようなスタイルを採用して、しかもこれだけ洗練された形に仕上げるとは、さすがです。これよりずっと後のJaguar XK120にもどこか近いような気がします。BMWは最近、ただの高級車メーカーになってしまっていますが、往年は高級である以前に、高性能スポーツカーを造るメーカーとしての地位を確立していたのです。僕はBMWのイセッタが最も好きなのですが、この328と、80年代の635 CSi、あと3.0CSがベストデザインだと思います。この車はBクラスの優勝車となったようです。
Fiat-Siata 508Sport MilleMiglia('36)photo by NOVAK
Fiat-Siata 508Sport MilleMiglia('36)photo by NOVAK
Fiat-Siata 508Sport MilleMiglia('36)photo by NOVAK
この車は僕は見たことがなかったので、ブガッティかな?と思ったのですが違いました。Fiat-Siata 508Sport MilleMiglia('36)です。ミッレミリアとは、かつてイタリアで開催されていたレースの名称で、“1000マイル”の意味です。1927から30年間開催され、57年のレース中に起こった大事故により、幕を閉じました。現在では、同じ名称でクラシックカーのレースとして毎年開催されていて、今年も5月中旬に開かれました。日本でも同様の趣旨で“ラ・フェスタ・ミッレミリア”という名称のレースが開催されています。原宿を出発して横浜でゴール、というコースで、なぜか毎年見逃すのですが、今年こそは!と思っています。開催予定日は10月10日~13日ということです。(参考:http://www.lafestamm.com/2009/
で、このミッレミリア、時計メーカーのショパールがスポンサーになっていて、同社から“ミッレミリア”という時計が毎年違うスペックとデザインで発表されています。このサイトでもご紹介しているのが、その中の2001年モデルです。
Jaguar SS100('37)photo by NOVAK
Jaguar SS100('37)photo by NOVAK
今回“マスターピース・オブ・トウキョウ”に輝いたJaguar SS100('37)。ジャガーの前身SS Cars Ltd.の名スポーツカー。当時“Jaguar”はブランド名だったとのこと。これぞスポーツカー、という印象の低く長いスタイルで、まさに猫科動物の雰囲気を漂わせていました。これ、子どもの頃ミニカーを持っていました。当時は勿論それがジャガーだとか考えもしませんでしたが、実車を見てすぐにミニカーの形を克明に思い出しました。子どもの頃植えつけられた記憶って残るものなんですね。それにしてもフロントグリルとヘッドライトのメッシュが凄い。どうやら見た感じ、サスペンションは5段階に調節できるようです。とにかく圧倒的な迫力でした。
Aston Martin Internatoinal('28)photo by NOVAK
Aston Martin Internatoinal('28)photo by NOVAK
フューエルキャップが宇宙人ぽくてかわいいAston Martin Internatoinal('28)。何度も経営危機を乗り越えながら、現在もスポーツカーメーカーとしてブランドが残っているというのは素晴らしいですね。この車は色も良く、シンプルで丸みのあるデザインと相まって、全体的にバランスが取れていると思いました。
Rolls-Royce 40/50HP Silver-Ghost Alpine-Eagle('19)photo by NOVAK
Rolls-Royce 40/50HP Silver-Ghost Alpine-Eagle('19)photo by NOVAK
Aクラスの優勝車となったRolls-Royce 40/50HP Silver-Ghost Alpine-Eagle('19)。素晴らしい完成度。キャビンの枠は木枠で整えられていて、後部座席に前後位置を調節できるウィンドウシールドが設置されています。後部に取り付けられているトランクもいい!当時、これに乗って一家で避暑地などに繰り出す様子が想像できます。まあ、かなりリッチな一家でしょうけど。
W.O.Benley 3Litre('24)photo by NOVAK
こちらは特別展示のW.O.Benley 3Litre('24)。白洲次郎氏が留学中に使用していた元所有車だそうです。しかし、留学中にベントレーに乗るってどういうことなんでしょうか?
Amilcar CGSS('28)photo by NOVAK
Amilcar CGSS('28)。“日本クラシックカークラブ(CCCJ)賞”はこの車が受賞していました。ものすごく分厚いノーズに錆び一つないコンディションで、受賞も納得できます。いつも不思議に思うのですが、この頃の車のタイヤは今でも作っているのでしょうか?レースに出たりすれば、やはり減ってしまうと思うのですが。
Amilcar CGSS('28)photo by NOVAK
Amilcar CGSS('28)photo by NOVAK
ボディは綺麗な舟型で、フランスの気品のようなものを感じます。ライトブルーとボディ色とのバランスも絶妙で、まさに芸術品です。
Bugatti T22('23)photo by NOVAK
Bugatti T22('23)photo by NOVAK
ペルラージュ仕上げで丁寧に磨かれたボディのBugatti T22('23)。このブランドも紆余曲折ありながら、現在も伝説を引き継いで活躍している貴重なクルマ文化の遺産ですね。ブガッティは1909年に設立され、第二次世界大戦後、創立者エットーレ・ブガッティ氏の他界によって自動車製造を終了しましたが、1991年、商標を買い取った実業家のロマーノ・アルティオーリ氏が発表したEB110 GTによって復活。その後、倒産するもフォルクスワーゲングループが商標権を買取り、現在も販売を続けています。
Bugatti T22('23)photo by NOVAK
たまご型のラジエーターグリルが、ブガッティらしい、一種独特のかわいらしさを放っていました。磨かれたボディや丁寧に作られたレザーシートなど、まるで第一次大戦前の飛行機のようです。
Bugatti T22('23)photo by NOVAK
というわけで、「東京コンクール・デレガンス 2009」大満足でした。こういうクラシックカーが築いてきた伝統が、どうも今のクルマ文化には活かしきれていないように思います。バブル前くらいまでは、クルマってどんどんよくなって行くんだろうなと子ども心に思っていたものですが、どこから変わったのか、クルマが単なる移動手段、便利な家電製品のひとつのように扱われるようになった気がするのです。どうにか、あの輝きを取り戻してほしいなあ。

さて、これで最後のつもりでしたが帰り際にもう一度、そんな現代のクルマの中でも輝いているあの一台を見て行くことにしました。
< Concours d'Elegance Part.2へ Part.4へ >
Return to Header
Guitars & Drums
Vinyl LPs/CDs/DVDs
Watches & Clocks
Books & Others
La Festa Mille Miglia 2009
French-French in Yokohama 2009
Concours d'Elegance Tokyo 2009
Guitar & Drum Collections
Heavy Listening Records
Watch & Clock Collections
Other Favorite Goodss
STAND FOR CHANGE - oNEIo} ItBVEFuTCg
I SUPPORT BARACK OBAMA
©Studio NOVAK